9つのリスク回避で認知症は予防可能?
2017-09-06

読売新聞 2017年9月3日

医学ジャーナル誌「Lancet」からの報告

9つのリスク回避で認知症は予防可能?

認知症にはなりたくないと思っていても、
予防のために何をすべきなのか、分からないことも多い。
そもそも、認知症は予防できるのだろうか?

英国の医学ジャーナル「Lancet」の認知症予防・介入・ケア委員会は、
生涯を通じて9つのリスクをコントロールし、脳の健康状態を改善できれば、
認知症の35%は予防できる可能性があるとする専門家24人からなる研究グループの見解をまとめ、
アルツハイマー協会国際会議2017(英・ロンドン)で発表するとともに、
Lancet( 2017年7月20日オンライン版 )で同時公開した。

回避可能な9つのリスクを検討

最新の推計によると、全世界の2015年の認知症患者数は約4,700万人で、
低・中所得国における急激な人口増加を背景に、2050年には約3倍になるとみられている。
認知症に伴う総コストは年間8,180億ドル(2015年)で、
医療以外の介護に当たる家族や社会の負担となるコストが約85%を占めることから、
社会を挙げての対策が急がれている。

認知症を発症するのは主に65歳超の高年期であるが、
脳の変化はその数年前から始まっていることが多い。

そこで、小児期(18歳未満)や中年期(45~65歳)のリスク因子にも目を向けて認知症予防に取り組む必要がある。

研究グループは小児期、中年期、高年期における9つの”修正可能な”リスクとして、
小児期では(1)教育期間の短さ(15歳超での教育が継続されず小学校が最終学歴)、
中・高年期では(2)高血圧(3)肥満(4)難聴、
高年期では(5)喫煙(6)抑うつ(7)運動不足(8)社会的孤立(9)糖尿病を挙げ、
各リスク因子の認知症発症への影響をモデル化し、
完全に排除できた場合に認知症症例全体の何パーセントの予防につながるかを推算した。

その結果、これら9つのリスク因子全てを完全に排除できれば、
認知症の35%を予防できる可能性が示された。

認知症の主要な遺伝学的リスクとして、認知症の危険要素と見なされてい
るアポリポ蛋白(apo)Eのε4アレルの存在がある。
このapoE ε4を標的とする治療方法が確立された場合でも、
それにより予防可能な割合は認知症全体の約7%とみられており、
上記のリスク回避の重要性がうかがえた。

すべての認知症の発症遅延・予防につながるわけではないが、
この予防戦略の効果を最大化するには9つのリスクに対する
安全かつ効率的な対策をとる必要があるとしている。

(あなたの健康百科編集部)

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